インターフェースの性質を考える【CUIとGUI・フィッツの法則・二重接面性】

インターフェースとは CUIとGUI・二重接面性情報試験対策
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インターフェースとは境界という意味ですが、コンピューターの世界では人とコンピューターの境界という意味でユーザーインターフェース(UI)という言葉が使われます。このページではUIについての基本的な用語を整理しつつ、インターフェースそのものの性質を考えていきます。

このページでは、

  • ユーザーインターフェースとは
  • フィッツの法則
  • インターフェースの二重接面性

を解説しています。

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ユーザーインターフェース(UI)とは

ユーザーインターフェース(UI)とは、ユーザー(利用者)とコンピューターの間をつなぐもののことで、具体的にはマウスやキーボード、ディスプレイなどに加えソフトウェアも含まれます。ソフトウェアやウェブサービスのデザインのことを指すことも多々あります。

CUIとGUI

CUIとGUIの計算ツール
Windows標準「コマンド プロンプト」「電卓」から

ソフトウェアのデザインという意味でのUIは大別するとCUIとGUIの2つがあります。

CUIは上図左のようにキーボードで文字を打ち込み操作するもので、初期のコンピューターはCUIのみに対応していました。これに対し、GUIは右のような文字通りグラフィカルなインターフェースです。GUIの方が直感的操作が可能ですが、操作の自動化はCUIの方が容易です。

また、GUIはウィンドウ、アイコン、メニュー、マウス(ポインター)の頭文字をとってWIMPシステムとも呼ばれます。机上(デスクトップ)を再現したデスクトップメタファが広く採用されていることも特徴の一つです。

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UIの評価(フィッツの法則)

ボタンを使用したUIについて、人の操作をモデル化して評価するときに用いられるのが以下のフィッツの法則です。

フィッツの法則

目標物へポインターを移動させるのにかかる時間Tを予測する。ポインターの始点から目標物までの距離をD、目標物の大きさ(幅)をW、デバイスに関する定数をa、bとすると、次の式が成り立つ。

$$T=a+b\log_2 (\frac{D}{W}+1)$$

ポインターを移動させるのにかかる時間は「操作のしやすさ」とほぼイコールなので、操作しやすいUIを作るには、上記の式のTが小さくなるようにすれば良いということです。

具体的には、
ポインターの移動距離を短くする(Dを小さくする)
ボタンを大きくする(Wを大きくする)
ことでTを小さくできます。

また、式の形から、\(\frac{D}{W}\) が一定ならば時間Tは変わらないとわかります。よって、操作のしやすさを損なうことなく、次のようにデザインを変更することが可能です。
ボタンまでの距離を2倍にするが、同時にボタンの大きさも2倍にする
ボタンの大きさを半分にするが、同時にボタンまでの距離も半分にする

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インターフェースの二重接面性

インターフェースの二重接面性

UIの設計に際して、「インターフェースの二重接面性」を意識することは有用です。

これは、コンピューターを通して何らかの操作を行うとき、人間と実際の操作の間に二重の境界(=インターフェース、“接面”とも)があるということです。認知心理学者の佐伯胖氏が提唱しました。

以下では、人間の思考という意味での「心理的世界」、機械の中の「道具・機械の世界」、実際の作業が行われる「仕事世界」という観点から考えます。

接面が1つのとき

心理的世界と仕事世界

例えば、ドライバーでねじを締めるとき、ドライバーを持った手を回してねじに力を伝達するため、そこにあるのは「心理的世界」と「仕事世界」のみです。つまり、接面は1つです。

接面が2つのとき

心理的世界と道具・機械の世界と仕事世界

一方で、コンピューターを使って工作機械を動かすとき、「心理的世界」、「道具・機械の世界」、「仕事世界」の3つがあります。つまり、接面は2つです

このように、コンピューターのような複雑な人工物を使うとき、インターフェースの二重接面性が現れるのです。このとき、以下の特徴がみられます。

・「道具の操作」と「実際に行われる作業」が異なる

先ほどの例では「道具の操作」とはマウスのクリックやキーボードへの入力、「実際に行われる作業」は機械による切断などの工作です。ドライバーなどでは一致します。

・「道具の操作」と「実際に行われる作業」が1対1対応しない

コンピューターではマウスのクリックという操作によって実に多様な作業を実行できます。ドライバーなどでは操作1つに作業は1つです。

これらのことから、インターフェースの二重接面性が現れるとき、操作は直感的でなくなり複雑で難しいものになるのです。このことを理解することが、使い勝手の良いUIの設計に役立ちます。

3行まとめ

このページではインターフェースについて解説しました。まとめると以下の通りです。

  • ユーザーインターフェースとはユーザーとコンピューターの間をつなぐものでCUIやGUIがある。
  • GUIはWIMPシステムとも呼ばれ、デスクトップメタファを採用していることが多い。
  • コンピューターのような複雑な人工物ではインターフェースの二重接面性により操作が複雑になりがちである。

皆様の参考になれば幸いです。

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